だから、「ふるさと納税」のような仕組みを導入して「足による投票」のメカニズムをさらに減殺するとしても、実際上は大きな差異をもたらすことにはならないとの意見はありうる。
が独自に徴収する「地方税」が存在するのは、税こそが地方自治の基盤だと考えられているからである。
すでに述べたように、地方公共団体が行政努力によってムダな経費を節約し、他方では企業や住民を誘致して税収を増やし、当該団体に好循環をもたらすという効果が期待されているのだ。
現状において必要なことは、理念としては存在している地方自治のメカニズムを実効性のあるものに高めてゆくことだ。
「ふるさと納税」のような仕組みで、その理念を破壊してしまうことではない。
以上で述べたこと以外にも、「ふるさと納税」の仕組みには、いくつかの問題がある。
やや技術的な問題であるとはいえ、現実には重要だ。
地方交付税との関係である。
住民税の振替がなされた場合、交付税の算定上いかに扱うべきか?常識的に考えれば、受け取り側では基準財政収入に算入すべきだろう。
仮にそうした扱いがなされるとすると、受け取り側では交付税が減ることになる。
つまり、「ふるさと納税」で税収が増えても交付税が減額されるため、結局税収全体は増えないことになる。
出し手側が交付団体である場合、住民税の減額を基準財政需要に算入すべきか否かは議論が分かれるだろうが、仮にそうすると、住民税の減収分が交付税で手当てされる。
したがって、名目上の変化しか起こらず、財政の実態には大きな影響は生じない。
また、地方債の認可にも影響が及ぶ可能性がある。
つまり、すでに国による財政調整制度が存在する以上、それに限界的な制度を付け加えても、意味がないのである。
変更するには、地方交付税制度の基本的な見直しが必要になるだろう。
仮に地方交付税制度を見直して財政収支に実質的な影響が及ぶようにすれば、今度は財政収支の安定性が失われる。
特に、受け手側で大きな問題になるだろう。
「ふるさと納税」の収入は、毎年同額が期待できるとは限らない。
ある年に巨額の振替があったが、次の年にはゼロということは十分考えられる。
したがって、収入が増えた年度に歳出を膨らませてしまうと、後年度で財源不足に見舞われる。
つまり、受け手側は、歳入の不安定化という問題に直面せざるをえない。
以上を考えると、「ふるさと納税」は、実効性のある効果を期待して行なうものではなく、「問題に取り組んでいる」と言い訳をするための材料以外の何ものでもないことがわかる。
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